DJI:世界の空を飛ぶドローンを製造

DJIは、中華人民共和国(中国)深圳市にあるドローンの製造会社です。DJIの製品は世界100ヶ国以上で販売されており、世界シェアの8割を握っています。
この記事では、DJIの沿革や主なサービスについて解説します。
DJIの創業者、汪滔(フランク・ワン)の歴史
DJIを創業したのは、汪滔(フランク・ワン)です。
汪滔は、1980年、浙江省杭州市(せっこうしょう・こうしゅうし)に生まれました。
幼い頃、汪滔は、ヘリコプターが登場するマンガの影響を受けて航空模型が大好きでした。そして、「いつか実物の遠隔制御ヘリコプターを作りたい」と夢見るようになります。
高校を卒業後、進学した大学が肌に合わず退学。続いて、香港科技大学の電子計算機エンジニア学部に留学することになりました。
大学の卒論では「遠隔操作による航空模型のフライトコントローラーシステム」をテーマにし、大学からは2万香港ドルを課題研究費として支給されました。そして、香港科技大学大学院に進学します。
ある日、汪滔の空中を舞うヘリコプターの動画を見た人物が「フライトコントローラーを購入したい」と申し出たことをきっかけに、汪滔は「これは商売になるのではないか」と考えます。
DJIの沿革
DJIの創業
2006年1月、汪滔は2人のクラスメイトと「大疆创新科技有限公司」(DJI)を設立しました。
- 大疆:Da-Jiang
- 创新:Innovations
- 科技:Science and Technology
「DJI」のDJの部分は汪滔の座右の銘の「大志無疆」から引用されて付けられました。これは「大志に限りはない」という意味です。
創業時、汪滔は大学院生で会社経営の経験も資金もありませんでした。そのため、会社の財務状況は常に不安定で、創業期の会社員のメンバーはいなくなってしまいました。
その後、汪滔の両親の友人、そして大学の教授からの資金提供により、DJIは成長を続けました。
ファントム1の成功
2013年、DJIは、ドローン界の中心となる「ファントム1」を発表します。
ファントム1は4つの回転翼を持つ「クアドロコプター」で、空撮カメラ、ジンバル、飛行制御システムなど、誰にでもかんたんに操作できる入門モデルです。
当時、ドローンを完成させるには1000ドル以上かかっていましたが、ファントム1は679ドルであり、使いやすさとやすさで大ヒット商品となりました。
現在、汪滔は世界市場シェアの9割を握ること、ドローンを大人向けおもちゃとして普段の生活の中に定着させることを目標にしています。
3強で争うドローン業界
ドローン業界は大きな企業が3つあります。
- DJI(中国)
- パロット(フランス)
- 3Dロボティクス(アメリカ)
パロットはおしゃれなデザインが特徴の企業です。しかし、ここ数年はDJIの快進撃を受けて、人員削減を余儀なくされる苦戦を強いられています。
3Dロボティクスは、ワイアード誌の編集長を務め、『ロングテール』や『フリー』などの著者としても知られるクリス・アンダーソン氏がCEOを務めている企業です。しかし、3Dロボティクスもまた経営破綻の危機に陥り、DJIと提携することになりました。
DJIの主なサービス
Mavic シリーズ
折りたたんで持ち運べるコンパクトドローン
Spark シリーズ
小さなボディの多機能ドローン
Phantom シリーズ
フラッグシップモデルのドローン
Osmo シリーズ
ハンディスタビライザー
DJIの関連書籍
沈 才彬『中国新興企業の正体』
高城剛『空飛ぶロボットは黒猫の夢を見るか? ドローンを制する者は、世界を制す』
DJIの基本情報
会社名 | 大疆创新科技有限公司 |
英文名 | Da-Jiang Innovations Science and Technology Co., Ltd. |
市場 | 非上場 |
本社所在地 | 中国広東省深圳市 |
設立 | 2006年 |
代表者名 | 汪滔(フランク・ワン) |
ウェブサイト | http://www.dji.com/ja |